事業売却・M&A

事業譲渡と会社譲渡の違いとは?税金・手続き・どちらが得かを徹底比較

事業譲渡と会社譲渡(株式譲渡)は全く別のスキーム

事業を売却する際、「事業譲渡」と「株式譲渡(会社譲渡)」のどちらを選ぶかで、手続き・税金・リスクが大きく変わります。この選択を誤ると数百万〜数千万円単位で手取り額が変わることもあるため、両者の違いを正確に理解しておくことが重要です。

この記事では、事業譲渡と株式譲渡の違いを税務・手続き・リスクの観点から徹底比較し、ケース別にどちらが有利かを解説します。

事業譲渡とは

事業譲渡とは、会社の事業(資産・負債・契約・従業員等)の全部または一部を、個別に選択して第三者に譲渡する方法です。会社自体は存続し、譲渡対象の事業だけが買い手に移転します。

事業譲渡のメリット

  • 譲渡する資産・負債を個別に選択できる(不要な負債を切り離せる)
  • 一部事業だけを売却し、残りの事業を継続できる
  • 買い手にとって簿外負債(隠れた負債)を引き継ぐリスクが低い
  • 許認可の問題がなければ比較的シンプルに実行できる

事業譲渡のデメリット

  • 個別に契約の移転手続きが必要(取引先・従業員・賃貸借等)
  • 従業員の同意が必要(転籍扱いになる)
  • 許認可が引き継げないケースがある
  • 消費税が課税される(株式譲渡は非課税)
  • 売却代金は法人に入り、法人税が課税される

株式譲渡(会社譲渡)とは

株式譲渡とは、会社の株式を第三者に売却することで、会社の経営権を移転する方法です。会社の資産・負債・契約・従業員はそのまま引き継がれ、オーナー(株主)だけが変わります。

株式譲渡のメリット

  • 手続きがシンプル(株式の譲渡契約のみ)
  • 従業員・取引先との契約はそのまま維持される
  • 許認可もそのまま引き継がれる
  • 個人株主の場合、税率が20.315%の分離課税で有利
  • 消費税は非課税

株式譲渡のデメリット

  • 会社全体を引き継ぐため、簿外負債も含めて全て承継される
  • 一部事業だけの売却はできない(会社丸ごと)
  • 買い手にとってDDの負担が大きい(全ての債務を確認する必要)
  • 少数株主がいる場合、全株取得に調整が必要

比較表(税金・手続き・負債・従業員の扱い)

項目事業譲渡株式譲渡
対象事業(資産・負債を個別選択)株式(会社全体)
会社の存続存続(売り手法人が残る)存続(オーナーが変わる)
売却代金の帰属法人株主(個人 or 法人)
税金(個人)法人税 → 配当課税20.315%(分離課税)
消費税課税非課税
従業員の扱い転籍(個別同意必要)そのまま継続
契約の移転個別に移転手続きそのまま承継
許認可再取得が必要な場合ありそのまま維持
負債の承継選択可能(簿外負債回避)全て承継
手続きの煩雑さやや煩雑シンプル

ケース別の使い分け

Webサービス・SaaSを売る場合

Webサービスやsaaの場合、多くは事業譲渡で取引されます。ドメイン・ソースコード・ユーザーデータ・サーバーなどの資産を個別に移転し、法人格は売り手側に残すケースが一般的です。特にマイクロSaaSや個人開発サービスでは、事業譲渡のシンプルさが好まれます。

AgentExitでの取引も、多くがこの事業譲渡方式で行われています。

AI開発会社を丸ごと売る場合

AI開発会社を丸ごと売却する場合は、株式譲渡が適しています。エンジニアチーム・顧客契約・許認可をそのまま引き継げるため、買い手にとって事業の連続性が保たれます。また、個人株主にとっては税率20.315%の分離課税が適用されるため、手取り額で有利になるケースが多いです。

事業の一部だけ売る場合

複数事業を運営しており、一部のAI事業だけを売却したい場合は事業譲渡を選びます。株式譲渡では会社全体が対象になるため、特定事業だけを切り出して売ることはできません。

事業の切り出しでは、従業員の転籍同意・契約の移転・資産の明確な切り分けが必要となるため、事前準備が重要です。

まとめ

事業譲渡と株式譲渡は、手続き・税金・リスクのすべてが異なります。Webサービスやサイトの売買は事業譲渡、会社丸ごとの売却は株式譲渡が一般的です。税務面では個人株主なら株式譲渡が有利ですが、負債リスクの観点では事業譲渡が安全です。

自社の状況に最適なスキームを選ぶために、税理士・弁護士に相談しつつ、事業売却の手順と流れも参考に検討を進めてください。AI・IT系事業の売却ならAgentExitの案件一覧もご覧ください。

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よくある質問(FAQ)

ほとんどのサイト売買は事業譲渡に該当します。ドメイン・コンテンツ・サーバー等の資産を個別に移転する形態です。サイトを運営する法人ごと売却する場合のみ株式譲渡になりますが、そのようなケースは少数です。
一般的に、個人株主が会社を売却する場合は株式譲渡のほうが手取り額が多くなります。株式譲渡は20.315%の分離課税ですが、事業譲渡では売却代金がまず法人に入り法人税が課税された後、さらに配当として個人に分配する際に所得税がかかる二重課税になるためです。ただし、個別の状況によって異なるため税理士への相談をおすすめします。
事業譲渡では、譲渡対象の資産(有形固定資産・棚卸資産・営業権など)に対して消費税が課税されます。一方、株式譲渡は有価証券の譲渡に該当するため非課税です。この消費税の有無も、スキーム選択の重要な判断材料になります。